風の森を醸す油長酒造さんへ行ってきました [風の森]

油長酒造さんのある御所市(ごぜし)は、奈良県の中でも南にあり、JR奈良駅から小一時間、大和平野の東の山裾を巻くように走って、葛城山のふもと御所駅で降ります。
駅から5分ぐらいですが、途中格子戸など趣のある家々が並ぶ美しい街並みを見ながら歩いて行くと程なく着きます。
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1719年に造り酒屋として創業し、以来三百年近く経つ油長酒造の12代蔵主山本さんにごあいさつし、スタッフの方々ともお話させていただきました。
息子さんの山本専務さんや、松澤杜氏さん、女性スタッフの高橋さん、みなさん全員20歳代で、若いのにびっくりしました。

5年くらい前まで但馬杜氏さんが来ていましたが、病気でこれなくなり、これを良い機会と社員杜氏に切り替えたそうです。
山本さんは言います。「本来蔵元は、どのようなお酒を造るかを設計し、設計書を杜氏に渡して、杜氏は設計書に基づいてお酒を造るのが本来の姿です。社員杜氏にしてそれが出来るようになったのです。」
玄関ブログ用.jpg
「風の森」は、全て無濾過無加水の生酒です。火入酒はありません。
ということは、通年無濾過無加水の生酒で流通しているわけです。
酒販店で保管される温度もマチマチですし、家庭では必ずしも冷蔵保存されるとは限らないため、無濾過無加水の生酒にとっては厳しい環境です。
「うちの無濾過無加水の生酒は、ある程度の常温でもヒネないのです。」といわれ、
これは凄いことだと思いました。
常温でも生ヒネしないような酒質にするには、ヒネの原因物質を出さない造りをするとともに、搾る際に空気に触れないよう、山本さんが考案された「笊籠採り(イカキどり)」による搾り方法や、貯蔵タンク内で空気に触れないような、様々な創意と工夫があります。

何年か前、アキツホ純米の300ml瓶の1年物を飲んだことがあります。300mlという小さな容量から想像するに、ヒネてないだろうかと思ったのですが。その思いはまったくの杞憂で、ぜんぜんヒネてない味わいに驚いたものです。

「土壁臭や杉板臭がお酒に付くことがあるのですよ。」
えっそんな香りが付くのですか。
そんな香りが付くとは知りませんでした。
「造り酒屋にとって重要なのは利き酒能力を養うこと、いやな香り成分や味わいを利きだす能力が大事です。」と話されていました。

7種類のお酒を利き酒させていただきました。
試飲ブログ用.jpg
山田錦、雄町、キヌヒカリ、露葉風、秋津穂の5種類のお米の、それぞれの個性の違いが良く出ています。個性を持たせつつ風の森らしい柔らかい口当たりとキレイな酸味、ベースとなるしっかりとしたボディは変わりません。素晴らしいですね。
毎年テーマを持って造りに臨んでいるそうですが、今冬のテーマは「個性を磨く」です。
毎年前年より一段上のテーマで臨むそうです。
5種類のお米のうち、キヌヒカリと秋津穂は一般米です。酒造好適米とくに山田錦は麹を造り易いのですが、一般米は造るのが難しいのです。一般米の価格は酒造好適米に比べるとはるかに安いです。
造りの難しい一般米をあえて使用して、安くて旨い日本酒を造る技術の高さと気概を感じました。

お話を伺った後、蔵の中を見せていただき、屋上に上がると、正面に青黒く大きな葛城山がそびえています。
葛城山ブログ用.jpg
その左手を追っていくと、山と山の切れたあたりが薄緑色に輝いているのが風の森峠だと教えていただきました。
オシャレな銘柄名「風の森」はこの地名から取られたものです。
私が風の森を地名だと知ったのは、今は亡き名随筆家白洲正子さんの著書「風花抄」を読んだ時です。「一言主の社から、さらに南へ下った所に、「風の森」という集落があって、」というくだりを読んで「風の森」は地名だと知ったのです。一言主の社とは御所市にある神社です。
薄緑色に輝く峠はいつも冷たい風が吹いているそうで、銘酒「風の森」のキレイな味わいでありながらしっかりとしたボディは、峠の風のように厳しい造りの中から生みだされたものでした。

「風の森」入荷まで今しばらくお待ちください。
Sake芯 http://www.sake-sin.com/

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