「初夏の創作フレンチと日本酒のマリアージュを楽しむ会」を開催しました [料理と日本酒の相性]

フランス料理と日本酒を合わせる企画も今年で20年目を迎えます。
お酒
 第1回は平成5年5月に始まりました。当時あるホテルにフランス料理を日本酒で楽しみたいと話を持ち込みましたが、シェフは渋っていたそうです。その時支配人が南仏系の料理に日本酒はきっと合うはずとシェフを口説いていただき、第1回が始まりました。

 当時はフランス料理に日本酒を合わせるなどとんでもないことだったのです。バブルが始まりかけていて、日本酒よりワインの方が上等なお酒と考えられていた時代でした。

20年目の今回は、初夏の創作フレンチとSake芯セレクトの新感覚日本酒とのコラボレーションを「あら井」さんで楽しみました。


~ 料 理 ~

アミューズ ブーシュ  クロケットにしたエスカルゴブルギニョン

冷前菜 活帆立貝柱とアスパラガス 季節のサラダを添えて

温前菜 フランス産フォアグラのポワレ 無花果のコンポート

スープ フカヒレ姿煮をコンソメで 生姜のエマルジョンと共に

魚料理 ポテトのドレスに着替えたイサキのオーブン焼き オマール海老のバターソース

肉料理 ローストビーフ

パスタ ウニの冷製パスタ

デザート ベイクドアラスカ


~ 日本酒 ~

菊鷹 山廃純米吟醸
 
仙禽 雄町50

笑四季 モンスーン 山田錦

豊賀 純米大吟醸 39%

風の森 純米 露葉風

仙禽 生もと 亀の尾50

笑四季 純米大吟醸 サブマリン


料理と合わせる日本酒選びですが、毎年頭を悩ませながら選考を楽しみます。
料理とお酒の最高の相性とは、料理とお酒が口中で互いに昇華して素晴らしいマリアージュを奏でることです。
今回もこの基準で日本酒を選びました。

フランス料理と日本酒をピッタリと合わせるのは難しい作業が必要となります。中でも肉料理にどのような日本酒を合わせるのかが一番難しいです。
肉には古酒が合うとか山廃や生もとが合うとか単純なものではありません。肉の芳醇な味を包み込む包容力のあるお酒が良く合います。

~ 今回の料理に合わせる日本酒を選んだ理由 ~

エスカルゴのクロケット
乾杯と最初の料理「クロケットにしたエスカルゴ」に合わせるお酒ですが、乾杯でも良いし、エスカルゴでも合う、菊鷹の山廃純米吟醸を選びました。
乾杯には微発泡性のあるお酒が最適なのですが、菊鷹は山廃にしてはとてもキレイなお酒で乾杯にも向いています。
そして、山廃のエネルギーを内に秘めた菊鷹ならエスカルゴに負けないだろうと思いました。

次の冷前菜はサラダ感覚の料理なので、サラダの繊細な酸味に、爽やかな酸味を持つ仙禽雄町を合わせました。

温前菜のフォアグラのポワレは直ぐに決まりました。
フォアグラのような油脂分の多い料理には甘口のお酒が合いますので、笑四季モンスーン山田錦を合わせます。モンスーンは酸味がありますのでソースの酸味と合うと思います。
油脂分の多い料理に甘口のお酒が合う理由ですが、人間のエネルギー源である脂肪と脳の栄養素である糖分この2つが合わさることで人間は無条件に美味しいと感じてしまうのです。

次のフカヒレ姿煮をコンソメでいただく料理ですが、フカヒレに何を合わせるかは悩みました。コンソメの濃厚な味をたっぷりと吸い込んだフカヒレには、包み込むような柔らかさの豊賀の純米大吟醸を合わせてみました。
ふかひれのスープ
魚料理には、エレガントなフルーツ感のある風の森純米露葉風を選びました。

さて、メインのローストビーフですが、ドライフルーツ様の芳醇な味わいを持つ仙禽の生もと亀の尾で挑んでみます。

そして最後のウニの冷製パスタですが、この料理も悩みました。そこでデザートにも合いそうな甘味の素晴らしい笑四季純米大吟醸サブマリンを選びました。



それでは「初夏の創作フレンチと日本酒のマリアージュを楽しむ会」の開宴です。

乾杯は菊鷹山廃純米吟醸でおこないました。
酸味の効いた甘酸っぱい味わいがとても良いです。

アミューズ ブーシュ クロケットにしたエスカルゴブルギニョン
お酒:菊鷹 山廃純米吟醸
エスカルゴの入ったコロッケをブラウンソースとともに食べる料理です。
エスカルゴの強い味わいに菊鷹はさすが山廃ですね負けてないです。
ソースの酸味とお酒の酸味が良く合っています。

ホタテの冷前菜

冷前菜 活帆立貝柱とアスパラガス 季節のサラダを添えて
お酒:仙禽 雄町50
繊細な酸味を活かした料理です。
合わせた仙禽雄町の爽やかな酸味がサラダの繊細な酸味にとても良く合います。
ただ帆立よりは海老やサーモンの方が合うと感じました。
料理の酸味が繊細なため菊鷹を飲むと菊鷹の方が強く感じてしまいます。

温前菜 フランス産フォアグラのポワレ 無花果のコンポート
お酒:笑四季 モンスーン 山田錦
フォアグラのふっくらとした味にからむソースの甘い味わいが、モンスーンの甘味と良く合っています。無花果のコンポートとも良く合います。

スープ フカヒレ姿煮をコンソメで 生姜のエマルジョンと共に
お酒:豊賀 純米大吟醸 39%
最初豊賀が少し強いかなと思いましたが、フカヒレの酸味を感じる旨味と素晴らしく良く合います。料理の後口との相性も素晴らしいです。

魚料理 ポテトのドレスに着替えたイサキのオーブン焼き オマール海老のバターソース
お酒:風の森 純米 露葉風
開栓時にポンと音がするほどガス感のあるお酒です。オマール海老のバターソースにシュワッとした微細な発泡感が不思議ととても良く合います。

フォアグラ

肉料理 ローストビーフ
お酒:仙禽 生もと 亀の尾50
このローストビーフは脂も乗っていてとても柔らかい素晴らしいローストビーフでした。
仙禽は良く合います。肉の旨味にフィットして、最後は味を切っていくところが良いです。

パスタ ウニの冷製パスタ
お酒:笑四季 純米大吟醸 サブマリン
冷製パスタに冷えたサブマリンが良く合います。パスタのクリームがサブマリンに合うのですね。思っていた以上の相性です。
またデザートにも良く合っていました。


人間の感性は人により様々であるため、私が良い相性だと感じたところが逆に合わないと感じる方もおられます。
その点を踏まえて参加者のコメントを紹介します。

~ コメント ~


菊鷹山廃純米吟醸とアミューズ ブーシュ
・きれいな酸味が印象的な山廃。甘味酸味のあるソースと良く合っていました。エスカルゴの濃厚さを受け止めていた。山廃でのスタートが意欲的で、すばらしい!
・山廃のクセが無くきれいな酸味がこれからの食事の期待感を増加させる。
・白ワインのような青リンゴを思わせる酸味があり、冷えていると食前酒としてふさわしい日本酒。


仙禽雄町と冷前菜
・軽やかな酸味が爽やかなサラダと引き立てあっていました。洗練された素敵な合わせ方ですね。仙禽は洋風なソースやドレッシングと良く合います。
・アンズやプラムなどの香り華やかなお酒なので、帆立の繊細な味だと酒が勝つ。サーモンの方がマッチ。
・仙禽らしい新しい甘酸っぱさを感じながらも日本酒らしいボディの強さがあり、料理とのバランスが良い。

笑四季モンスーンと温前菜
・モンスーンとフォアグラは相思相愛のカップルである。このマリアージュは他の組み合わせではダメ。無花果の個性的な甘味とモンスーンの甘味がベストマッチである。
・おっしゃる通りお酒の甘味がボリューム感を受け止めていました。とても勉強になりました。
・貴腐ワインを感じさせる芳醇な甘味がありフォアグラ料理の濃厚なソースとの相性が良い。

豊賀純米大吟醸とスープ 
・スープに負けてない。
・美味しい!スープの生姜の時とケンカしてるかな。
・苦味がアクセントになって大人っぽい仕上がり。生姜の風味と合いますねネ!
・フカヒレより豊賀の方ががんばっている。

風の森純米露葉風と魚料理 
・爽やかな酸がバターソースに良く合っている。風の森は肉料理でも充分合わせられる。ローストビーフと合わせてみたがバッチリ!!
・シャンパンを頂いているような汲みたてのフレッシュ感が上等で至福でした。苦味がとてもエレガント、白身の魚とも良く合っていて素晴らしかった。
・フレッシュ&スムース。新感覚の日本酒。和食はもとよりフレンチ、イタリアンとでも良く合う。


ローストビーフ

仙禽生もと亀の尾と肉料理
・フレンチの濃厚なソースの肉料理は赤ワインという感覚でしたが、仙禽生もととのマリアージュはとても新鮮で、これもありと思いました。
・亀の尾の力強さが肉と合っていた。素晴らしく美味しいローストビーフでした。ただ生もとは少し温めて合わせてみたかった。
・仙禽さんは肉との組み合わせは外せない。前出の貝柱よりローストしてある肉の方が数段お酒の美味しさを感じる。
・ローストビーフの脂と共に一緒にトロけてゆく・・・今日の中で一番ハマリました。
・ローストビーフよりはかなり味が勝っている。
・肉に合わない。風の森の方がまだ合う。

笑四季純米大吟醸サブマリンとパスタ
・しっかりしたパスタにしっかりしたお酒!
・濃厚な味にも負けない。
・料理に負けない自己主張が優れている。
・笑四季はどの酒も特徴があり、ビン・ラベルを含めて「脱旧日本酒」を目指していると思う。


ローストビーフ

一番意見が分かれたのは仙禽生もと亀の尾とローストビーフの相性でした。
料理と日本酒の相性は微妙なものです。
料理のどの味にお酒が合うのか、それは酸味だったり、甘味だったり、香りだったりと、あるポイントでお酒と共鳴し合えばマリアージュが生まれると思います。

全体ではどの料理にも日本酒は良く合っていました。
若き造り手が醸した新感覚日本酒だからこそフランス料理のフルコースに対応できるのだと思います。

皆さんもぜひ洋風料理と新感覚日本酒のマリアージュを試してみてください。
ワインとは違う新たな日本酒の世界を発見できると思います。
今回のフランス料理に合わせた新感覚日本酒が少しでも参考になれば幸いです。


日本酒専門店 Sake芯 http://www.sake-sin.com/
Sake芯 ショッピングサイト http://shop.sake-sin.com/

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コメント 2

山縣晶子

当日の感動を思いおこしながら読ませて頂きました。
脂肪分と甘味が身体に与える快楽のメカニズムに納得です。
ほんとうに素晴らしい日本酒とフレンチのマリアージュでした。
参加させて頂き光栄でした。ありがとうございまhした。
追)sake芯さんのセレクトされる日本酒は
きっとグラス映えすると思いました。
by 山縣晶子 (2013-05-31 21:53) 

sin

脂肪と甘味のことは、伏木亨先生の著書「コクと旨味の秘密」に書かれているのを参考にしております。それと確かにグラスの方が良いのでしょうが、ガラスだと日本酒の味わいが薄くスムーズになりすぎるきらいがあります。日本酒はやはり陶磁器の方が五味が豊かに感じられます。ワインは逆ですね。ガラスでは味わい豊かになり、陶磁器は薄く感じます。ヨーロッパでよく用いられるガラスに合うようワインは造られてきて、日本酒は陶磁器に合うよう造られてきた、食文化の歴史がそうさせるのだと思います。
by sin (2013-06-02 23:06) 

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