キレイな山廃こそ本来の山廃 [日本酒の会]

先日Tさんが会長を務める酒の会へ参加して来ました。
今回のテーマは、「キレイな味わいの飲み易い山廃」がテーマです。
東北各県を代表する山廃が並びました。
秋田県の雪の茅舎、新政、
宮城県の日輪田、山形県の山男山
福島県の風が吹く、
2010.12.4sennenkai110.jpg
いずれのお酒もキレイで、酸が出ていても酢っぱい酸ではなくキレイな酸味で、山廃とは思えない飲み易いお酒です。
参加者皆さん今までの山廃のイメージが変わったと言っていました。

私も、今まで飲んできた山廃や生モトは飲みにくいお酒がほとんどでした。
昔は、ごつくて飲みにくい山廃が、昔ながらの造りで、これこそ本来のお酒の味わいだと言われていましたので、そう信じて飲んでいた訳です。
最近も「山廃は飲んでみないと怖くて買えない」とコメントしたブログを見かけました。
「山廃」の一般的なイメージはまだこのようなイメージだと思います。

ところが最近、キレイで飲み易い山廃が出てきています。今回はそういう山廃を集めての酒の会だそうです。

私が以前読んだ、故上原浩先生の著書「純米酒を極める」(光文社新書2002年刊)に現代の生モトや山廃造りについてこう書かれています。

「生モト系の酒の中には、どう見ても(腐造寸前の)多酸モロミを搾ったとしか思えない飲みにくい酒があるが、これは明らかに失敗作である。同じ酸でも、まっとうな発酵によって生じた酸はキレイな旨味に感じられるが、不健全な発酵によって生じた酸は、エグく、酸っぱく、苦く、嫌味にしか感じられない。生モト系の造りの酒は、酸度やアミノ酸度が~中略~速醸系の造りの場合と同程度に抑えられているべきである。ただ現状では、多くの酒造家の技術が十分でないため、どうしても味の多い酒になってしまっている。生モト系でも、もっと味切れの良い爽やかな酒が増えてくることが望ましい。」と。

そして今までの飲みにくい山廃や生モトの酒を飲んでいたことについて、次のように書いています。
「世の中には奇妙な飲み手がおり、失敗作の見本のような不味い酒を我慢して飲み下し、その飲みにくさが生モト系の特徴であると勘違いして、有難がり、「これぞ本物!」と吹聴しているから、ますますわけが分からないことになる。」
これは正に飲みにくい不味い酒を本物だから旨いのだと脳に言い聞かせて、今まで私たちは飲んでいた情景を言い得ています。

健全な発酵から生まれるキレイで爽やかな酒が本来の生モトや山廃の酒であるなら、この会で飲んだお酒は山廃本来の味わいを持った正統的な山廃であると言えます。

日本酒というのは本当に深くて面白いですね。
だから日本酒探求は止められないです。

日本酒専門店 Sake芯 http://www.sake-sin.com/

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ばん

「世の中には奇妙な飲み手がおり、失敗作の見本のような不味い酒を我慢して飲み下し、その飲みにくさが生モト系の特徴であると勘違いして、有難がり、「これぞ本物!」と吹聴しているから、ますますわけが分からないことになる。」
まさに刮目して読めと感じですな!
by ばん (2010-12-06 17:39) 

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