甘口の酒と辛口の酒 [日本酒の会]

大概の方は日本酒というと辛口くださいと言われるのですが、これはテレビCMの影響が大きすぎて、美味しい日本酒=辛口と思い込まされているのです。
実際辛味の有るお酒を勧めると甘口のお酒のほうが美味しいと甘口のお酒を買われることが多いです。
甘口の酒と辛口の酒ぐい吞み bySake芯
現代日本酒の多くは甘口が主流になっています。
現代人の嗜好が甘口を好むようになり、日本酒=辛口の神話は崩壊してきています。
もう一つは、香りを出すためには大量の糖が必要で、低温長期発酵の場合酵母が糖を処理する量が少なくなるため甘口のお酒になります。香りを出す酵母として知られているカプロン酸系酵母を使用したお酒はこの傾向が強くなり、このようなタイプのお酒が増えています。

現代日本酒の辛口酒
現代の無濾過原酒の辛口酒は甘味もある中に辛みを感じるお酒になっています。
実際のところ辛口酒は敬遠される方向にあります。

それでは現代の甘口のお酒とはどんな味、辛口のお酒はどんな味でしょう。
同じ銘柄の日本酒度+と-のお酒を飲み比べて甘口と辛口の味の違いを探ってみました。
同一銘柄を辛口と甘口2本ずつ一緒に出して比べました。

甘口の酒と辛口の酒 bySake芯

~ お酒 ~
1菊鷹 山廃純米 雌伏 夢錦 火入れ 酵母無添加
酒米:酒母米山田錦、掛麹米及び掛米(もろみの仕込米)夢錦、精米歩合70%、
酵母:無添加、アルコール15度、火入れ酒 3,132円
2菊鷹 山廃純米 雌伏 辛口仕込み 火入れ(+10)
 酒米:麹米山田錦、掛米フクノハナ、精米歩合70%、日本酒度+10、酵母:協会7号、
アルコール15度、火入れ酒 3,132円
3豊賀 純米大吟醸 瓶燗火入れ (-3)
 酒米:美山錦、精米:49%、日本酒度-3、酸度1.7、アルコール:16度、酵母:長野D酵母、無濾過原酒、瓶燗火入れ 3,564円
4豊賀 純米吟醸 中取り 無濾過生原酒 (+4)
 酒米:美山錦、精米:59%、日本酒度+4、酸度1.7、アルコール:17度、酵母:長野C酵母、中取り無濾過生原酒 2,916円
5姿 純米吟醸 山田錦 袋吊瓶囲い(-3)
 酒米:山田錦、精米:55%、日本酒度-3、酸度1.7、アルコール:17.2度 、無濾過生原酒 
3,780円
6姿 純米吟醸 山田錦 極すがた(+10)
 酒米:山田錦(栃木農業高校産)、精米:55%、日本酒度+10、酸度1.6、アルコール:18度 
酵母:T-S、無濾過生原酒 3,456円


~ 参加者コメント ~
1菊鷹 山廃純米 雌伏 夢錦 火入れ 酵母無添加
・コクがあり香りの強い酒である。甘味も強く感じる。時間が過ぎると味が変わる。
・甘口とのことだがさらっとした甘味で嫌みがない。香りは弱いフルーティな香りを感じる。鮎有馬煮が合う。
・香りもあり、甘味のなかにもコクがあり味わい深い。食しながらだと渋味が感じられる。
・ふくよかさ、甘味とも好味。複雑な混在感、不思議。

2菊鷹 山廃純米 雌伏 辛口仕込み 火入れ(+10)
・料理との組み合わせを選ぶ。ぬる燗で飲んでみたい。
・1番とは香りが違う。苦味を強く感じたが、温度が上がると苦味が引いて飲み易くなった。イクラやバイ貝と合う。
・同じ銘柄とは思えない。これはこれでなかなかの味わいがある。
・引き際が良いというか、後に余韻が無い感じ。

3豊賀 純米大吟醸 瓶燗火入れ (-3)
・トロッとして、高級感がある。
・しっかり品がある。お刺身はこちらの方が好きです。
・4番より辛く感じる。しかし味わい深い。やはり豊賀と思う。刺身に合う。
・甘味が抑えられた香りのある酒。甘い酒でも飲み続けられる酒。
・純米大吟醸だけあって全体の嗜好レベルが高い。

4豊賀 純米吟醸 中取り 無濾過生原酒 (+4)
・酸味と甘さのバランスが良く、とても美味しいです。
・酸と甘味のバランスがとても良い。温度変化があってもバランスは変わらない。
・しっかりして深みがある。少し酸味があり、美味しいです。
・軽く舌を刺す酸もよろしい。フレッシュな感じ。
・無濾過生なのか甘く感じる。果実臭が心地良い。

5姿 純米吟醸 山田錦 袋吊瓶囲い(-3)
・甘味が何とも言えず、ゆっくり飲みたい。
・煮物にはいいと思います。
・スルスル、日本酒苦手でも飲めそう。
・かなり甘く感じる。

6姿 純米吟醸 山田錦 極すがた(+10)
・本日最高
・+10の割には奥深く飲める。
・秋の空高く、米の基。
・毎日でも飲みたい。料理に合う。
甘口の酒と辛口の酒お造り bySake芯
 
~ まとめ ~
今回は甘口のお酒と辛口のお酒を一緒に出し飲み比べてみました。一緒に飲み比べることで違いがよく分かったと思います。
菊鷹の場合、夢錦は甘味があり飲みやすく、辛口はさすがに日本酒度+10あるとスッキリと口に入って切れていきます。
豊賀の場合、純米大吟醸は質が高くトロッとした甘味が素晴らしいお酒で、純米吟醸は日本酒度+4のため辛口というよりも、甘味もありバランスの良い味でした。
姿は+10の極すがたキリッと締まっていながら味わいもあり酒飲みに好まれる味で、純米吟醸はするっと入っていく味でした。
お酒単体で飲むには甘口の方が美味しく、料理と合わせるには辛口の方が合うとの声がいくつか聞かれました。
また、甘味があるとコクが有るとのコメントもありました。コクというのは甘味がもたらすものなんですね。(京都大学の伏木亨先生の「コクと旨味の秘密」に詳しく書かれています。)
甘味の少ない辛口はコクが無くスッキリと飲めるようです。
この辺も人間の体のエネルギー源と脳の味の感覚は相関関係にあるのです。
「人間は脳で食べている」という伏木亨先生の言葉もあります。

日本酒度+4だと辛口というより甘味もある中に辛味がある味だが、さすがに+10になるとキリッとした辛口の酒になります。
甘味がある方が飲みやすく、キリッとした辛口は男の酒という感じですが、これはあくまでも好み、現代日本酒のトレンドは甘口ですが、スッキリ飲みたいという方は辛口がお勧めです。

甘口と辛口のお酒を一緒に比較してみましたが、大変面白い企画でした、またやってみたいと思います。


日本酒専門店 Sake芯 http://www.sake-sin.com/
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