笑四季酒造さんへ行ってきました [笑四季]

笑四季(えみしき)酒造さんは滋賀県甲賀市にあり、とても素敵な貴醸酒を造っている蔵です。
実は7月に笑四季酒造の竹島充修(たけしまあつのり)ディレクターが当店に来られ、色々と話をさせていただきました。
その時、蔵を見たいと思い、訪問する約束をしました。

竹島さんは新潟県柏崎市の生まれで、ご実家は造り酒屋とは縁のない一般家庭だそうです。
日本酒が造りたくて東京農大を卒業され、新潟県の大手酒造会社に杜氏候補生として就職しました。その後縁があって笑四季酒造のお嬢さんと結婚され、蔵に入って蔵元杜氏として腕をふるっています。
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新幹線の京都駅から東海道本線で戻り草津駅からJR草津線に乗り換え、
貴生川駅(きぶがわ)で降りると充修さんが迎えに来てくださいました。
15分ほどで蔵へ到着しました。
蔵の前の通りは旧東海道で、この辺りは江戸時代の宿場水口宿として栄え、往時の雰囲気を今に残す趣のある街並みが続きます。


早速蔵を案内していただきました。
造りの終わった夏の蔵内はひっそりしています。
冷温庫で出荷まで静かに眠るお酒、笑四季さんでは全てのお酒は瓶貯蔵しています。

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特徴的なのは麹室でしょうか、ここの麹室は板を一切使用していないのです。木製の箱も使っていません。理由は木の匂いがお酒に移るからです。木香を感じるお酒がたまにありますが、原因の一つは麹室の杉材が麹に移ることです。
この蔵では櫂までも木製の櫂は使用しないという徹底ぶりです。
木香を始め嫌な臭いを付けないために細心の注意を払っています。

蔵の石高は250石で、その内80石が貴醸酒です。貴醸酒の石高に占める割合は多いです。
この蔵の主力とも言える貴醸酒の造りは難しく、品温が上がらないので、ヒーターで暖めてやるそうです。
笑四季酒造さんの貴醸酒はモンスーンという銘柄です。「モンスーンは日本酒らしくないお酒です。唯一日本酒の面影があるのは赤ラベルですね。」甘口の白ラベルから甘味の抑えられた赤ラベルまで4種類あるのですが、赤ラベルはプルーンのようなドライフルーツ系で私の好きなタイプのお酒です。

酵母は、7号系酵母と花酵母を使用しています。
「ウチの酵母は京都の試験場で選抜してもらうのですが、香りが低く酸を出す酵母を選抜してもらっています。ほとんどが7号系酵母です。」
以前はカプロン酸系酵母も使用していたそうですが、「カプロン酸系酵母は禁煙を機に止めました。」と聞き驚きました。
「私がカプ系酵母を止めたのは、以前タバコを吸っていたのであまり感じなかったのですが、タバコを止めたら、カプ系の香りが鼻について嫌になったのです。それからカプロン酸系酵母は止めました。」カプロン酸系酵母全盛の時代に大きな転換を図るとは勇気のいることだと思います。
私も7号酵母を使うのは大賛成です。7号は古い酵母ですが、純米に良く合いますし、酸が出るので食中酒向きです。そして何より香りがとても品が良く、果物のような香りが出るので新感覚酒向きの酵母だと思っています。
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お米は殆ど県産米を使用しているそうです。
「今年は米が高温障害の影響で硬かったので、米が溶けにくかったのです。特に山田錦は高温障害の影響を受けて米が硬かった。高温障害の影響が一番大きかったのではないでしょうか。」
山田錦は米が実る時期の9月に高温が続くと品質が低下するそうです。
また、「山田錦は収穫時期が10月のため台風の被害にも会いやすいため、丈が短い品種を探していたが、そういう特性を持った種籾が手に入ったので、今年は自社田でその米を試験的に栽培しているんです。」そのお米で造ったお酒今から楽しみです。

竹島さんの貴醸酒など独特の酒造りから生みだされる日本酒は良い個性に溢れています。
「他の蔵と同じようにカプロン酸系の酵母を使ってキレイなお酒を造ってもしょうがないと思っているんです。ウチの酒は歪んだ味で、けっして万人向けではない、でも個性があります。笑四季しか出来ない個性のある日本酒を造っていきたい。」と語っていました。
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蔵を案内していただいた後で竹島さんに連れられ、地元で有名なB級グルメのスヤキを食べに谷野食堂さんに行きました。
谷野食堂のスヤキは「秘密のケンミンSHOW」でも紹介された滋賀県では有名なB級グルメです。
麺とモヤシとネギを焼いただけのシンプルな焼きそばです。
自分で胡椒とソースと醤油を掛けて食べるのですが、これは旨い!
麺の焦げた香ばしさと、ソースと醤油のどこか懐かしい味、B級グルメの王様だ。シンプルイズベスト!
昨今の料理はやたらこれでもかと味を足していく傾向にあり、くどくて訳の分からない味になってしまう。
スヤキは味の全てをそぎ落とした究極の引き算料理。旨いので一気呵成に食べてしまいました。
人が惹かれ病みつきになる味、素を焼くスヤキ、味わいの本質を究めた料理です。

さて蔵に戻り、定時呑み切りを兼ねて社員の方と一緒に利き酒をさせていただきました。
どのお酒も良い個性を持っていて美味しいですね。
竹島さんと私がこれは旨いと二人して唸ったお酒があります。
笑四季 特別醸造酒山田錦しゃくなげ酵母2010 火入です。火入した貴醸酒を1年寝かしたお酒です。
全てが丸く磨かれて、優雅な甘味はまさに甘美な世界、極上品な貴腐ワインのようです。アプリコットのような果実味も素晴らしい!
竹島さんが学生のころソーテルヌやトカイの貴腐ワインに陶酔し、いつか日本酒でこの味を実現したいと長年構想していたものが実現したお酒だと思います。
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貴醸酒のラベルはイラストレーター魚住幸平氏のデザインになるものです。ボトルはワインボトルを使用し、良い個性を持った酒質・ラベルデザイン・ボトルとトータルに飲み手の感性に訴える、これが未来創造集団笑四季の日本酒です。

竹島さんはまだ若干32歳、世界の名だたる貴腐ワインを凌駕する日本酒の出現に期待が膨らみます。

近日中に入荷いたします。


日本酒専門店 Sake芯 http://www.sake-sin.com/
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