フランス料理に日本酒(仙禽)を合わせる第18回 [料理と日本酒の相性]
今年もフランス料理に日本酒を合わせる会を行いました。
場所は葉山のレストラン、ラ・マーレです。
今回は仙禽さんをお呼びして、オール仙禽でフランス料理に合わせてみました。
お酒は、仙禽さんの真人さん(弟さん)とメールで何度か打合せをし、サンプルを送って頂き試飲を繰り返してお酒を選びましたのである程度自信はあるのですが、はたしてどうでしょうか?
まず、フランス料理のコースに日本酒を合わせるための、私なりの考え方は、
*乾杯や食前酒には香りが程よく付いた、うすにごりや純米吟醸系統の、上品なお酒を選びます。そこで選んだのが、
・仙禽 鑑評会出品酒 亀の尾19%
*続いて、魚料理などの食中酒ですが、魚料理には経験上、白ワインより絶対に日本酒の方が合います。そこで流麗な味わいで、香りが強くない純米吟醸を選びます。今回は2本選びました。
・仙禽 純米大吟醸 千本錦
・仙禽 純米吟醸 とちぎ酒14
*次にメイン料理の肉につながる料理に合わせるお酒ですが、しっかりとしたボディを持った料理に負けない味わいのお酒を選びます。木桶仕込みの生モトです。
・仙禽 木桶仕込 生モト 純米吟醸 雄町
*いよいよメインの肉料理ですが、ここが一番日本酒選びで苦労するところです。肉に合うのは経験上古酒ではありません。一連のコースの流れの中で古酒のような老香の強いお酒は味わいが異質に感じてしまい、コースの流れを阻害するのです。
むしろ肉に負けないボディを持っていて、包容力のあるお酒が肉に合います。
この条件に合うお酒として、木桶仕込の山廃純米を選びました。
・仙禽 木桶仕込 山廃純米 亀の尾
*最後のデザートは吟醸系の品の良いお酒がデザートにはとても良く合いますので、純米大吟醸を選びました。
・仙禽 純米大吟醸 ひとごこち
コース料理の流れの中で出す日本酒の選定基準は毎年上記のような考え方でやってきました。
さて、日本酒選定の考え方はこのくらいにして、宴の話に戻ります。
今回は、あいにくの曇り空ですが、始まるまで、夕暮れの雰囲気をテラスで楽しみました。
さあ宴の始まりです。
薄井兄弟のご挨拶とお酒の解説の後、鑑評会出品酒 亀の尾19%で乾杯です。
グラスに注いでいるそばから品の良いブーケがこちらまで漂ってきます。
含むと程よい香りで、桃のような上品な味わいがふんわりと広がります。
素晴らしい宴を予感させるプロローグにはぴったりのお酒です。
この品の良さはさすが、亀の尾を19%まで削ったからこそ出せる味わいですね。
ぐっとお酒に引き寄せられてしまいます。最初の摑みは大成功ですね。
心白の大きいお米だと、19%まで削れないのですが、亀の尾のような心白の無い米だからこそここまで削れると説明を受けました。
次は、純米大吟醸千本錦地タコに負けないしっかりとしたボディがあり、甘味と酸味が充分に出ていながらまろやかな口当たり。いや素晴らしいですね。料理にも良く合っています。
次の料理は、赤座海老のグリエ、これに合わせたのは純米吟醸とちぎ酒14です。
このお酒最初は甘酸っぱく柔らかく出てくるのですが、途中から爽やかな酸味がシャープに切れてきて心地よいです。海老にも良く合っていました。
このお酒は真人さんの解説では、麹も米も全て栃木産で、とちぎ酒14は栃木県だけで栽培されているお米だそうです。
このとちぎ酒14というお米は、途中から辛口に切れてくる酸に特徴があると思います。
次は、木桶仕込 生モト 純米吟醸 雄町です。この辺りから肉に向けてディープなお酒が続きます。
ふくよかな甘酸っぱさが広がり、爽やかな柑橘系の酸味で切れていきます。おや!もっとグラマラスなボディと思っていましたが、今日は後半に爽やかに切れていく酸が、試飲時と異なるイメージです。でもこの感じも素晴らしいですよ。特にこの爽やかな酸味が素晴らしい。木桶仕込生モト純米吟醸雄町の新しい一面ですね。イサキのポワレにも負けないしっかりとしたボディがありますので、料理にも良く合います。
とここで!
ソムリエの方から、このままのペースで飲んでいくと木桶仕込みのお酒が肉までもたないと耳打ちされ、さあ大変、そこで、最後の純米大吟醸ひとごこち、デザートには甘めのお酒をとこのお酒をデザートにぶつけるつもりでしたが已む無くここで投入。
若干甘味が強いですが、口当たり良く品の良いお酒です。
さていよいよ肉に合わせます!
毎年肉に合わせるお酒を選び出すのが一番大変なのですが、今年は候補のサンプルを幾つか実際に肉と合わせてみて、その中で一番肉に合った木桶仕込山廃純米亀の尾を選びました。
仙禽さんによると、生モトより山廃純米の方が深いボディのお酒になるそうです。
さて味わいは、和牛の甘い脂を優しく包容力豊かに包み込み、素晴らしいです。
互いの味が口中で昇華していくようです。まさに和牛と亀の尾のマリアージュですね。
参りました。素晴らしいです。
これだけ和牛と相性が良いのなら、赤ワインにもけっして負けないと思いました。
そしてさらに驚きは、デザートにも素晴らしい相性を見せたことです。
デザートの甘酸っぱい酸味とお酒の酸味が共鳴し合ってとてもエレガントな味わいです。
このお酒の料理に対応する能力の高さは凄いです。
いやーっ!今日の仙禽さんのお酒とフランス料理との相性は素晴らしいですね。
甘酸っぱさを活かした仙禽さんの基本的な味のベースがフランス料理にとても良く合うのですね。
もう一つ言えるのは、基本的な味のベースに、純米大吟醸の品の良さを持ったものと、純米吟醸の酸味を利かせたものと、木桶仕込のボディの太いものと3つの異なるパターンのお酒があることです。
これによって、コース料理の中でバラエティに富んだお酒で対応できるのが仙禽さんの強みです。
個々の料理に合うお酒をしっかり選んでやれば、ワインが無くても日本酒だけでまったく問題なく料理に合います。
ただし、今日肉に山廃純米が合ったからと言って、どの山廃純米も肉に合うかと言うと、そうは言えないのです。
肉の甘い脂身を優しく包み込む包容力の豊かな仙禽さんの木桶仕込山廃純亀の尾だからこそ肉に合うのです。
日本酒の可能性はまだまだ無限です。
仙禽さんなど若い世代が造った新世代の日本酒は、その可能性をまだまだ広げていくでしょう。
皆さんもぜひフランス料理と日本酒を合わせてみてください。
日本酒の素晴らしさを発見されると思います。
日本酒専門店 Sake芯 http://www.sake-sin.com/
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場所は葉山のレストラン、ラ・マーレです。
今回は仙禽さんをお呼びして、オール仙禽でフランス料理に合わせてみました。
お酒は、仙禽さんの真人さん(弟さん)とメールで何度か打合せをし、サンプルを送って頂き試飲を繰り返してお酒を選びましたのである程度自信はあるのですが、はたしてどうでしょうか?
まず、フランス料理のコースに日本酒を合わせるための、私なりの考え方は、
*乾杯や食前酒には香りが程よく付いた、うすにごりや純米吟醸系統の、上品なお酒を選びます。そこで選んだのが、
・仙禽 鑑評会出品酒 亀の尾19%
*続いて、魚料理などの食中酒ですが、魚料理には経験上、白ワインより絶対に日本酒の方が合います。そこで流麗な味わいで、香りが強くない純米吟醸を選びます。今回は2本選びました。
・仙禽 純米大吟醸 千本錦
・仙禽 純米吟醸 とちぎ酒14
*次にメイン料理の肉につながる料理に合わせるお酒ですが、しっかりとしたボディを持った料理に負けない味わいのお酒を選びます。木桶仕込みの生モトです。
・仙禽 木桶仕込 生モト 純米吟醸 雄町
*いよいよメインの肉料理ですが、ここが一番日本酒選びで苦労するところです。肉に合うのは経験上古酒ではありません。一連のコースの流れの中で古酒のような老香の強いお酒は味わいが異質に感じてしまい、コースの流れを阻害するのです。
むしろ肉に負けないボディを持っていて、包容力のあるお酒が肉に合います。
この条件に合うお酒として、木桶仕込の山廃純米を選びました。
・仙禽 木桶仕込 山廃純米 亀の尾
*最後のデザートは吟醸系の品の良いお酒がデザートにはとても良く合いますので、純米大吟醸を選びました。
・仙禽 純米大吟醸 ひとごこち
コース料理の流れの中で出す日本酒の選定基準は毎年上記のような考え方でやってきました。
さて、日本酒選定の考え方はこのくらいにして、宴の話に戻ります。
今回は、あいにくの曇り空ですが、始まるまで、夕暮れの雰囲気をテラスで楽しみました。
さあ宴の始まりです。
薄井兄弟のご挨拶とお酒の解説の後、鑑評会出品酒 亀の尾19%で乾杯です。
グラスに注いでいるそばから品の良いブーケがこちらまで漂ってきます。
含むと程よい香りで、桃のような上品な味わいがふんわりと広がります。
素晴らしい宴を予感させるプロローグにはぴったりのお酒です。
この品の良さはさすが、亀の尾を19%まで削ったからこそ出せる味わいですね。
ぐっとお酒に引き寄せられてしまいます。最初の摑みは大成功ですね。
心白の大きいお米だと、19%まで削れないのですが、亀の尾のような心白の無い米だからこそここまで削れると説明を受けました。
次は、純米大吟醸千本錦地タコに負けないしっかりとしたボディがあり、甘味と酸味が充分に出ていながらまろやかな口当たり。いや素晴らしいですね。料理にも良く合っています。
次の料理は、赤座海老のグリエ、これに合わせたのは純米吟醸とちぎ酒14です。
このお酒最初は甘酸っぱく柔らかく出てくるのですが、途中から爽やかな酸味がシャープに切れてきて心地よいです。海老にも良く合っていました。
このお酒は真人さんの解説では、麹も米も全て栃木産で、とちぎ酒14は栃木県だけで栽培されているお米だそうです。
このとちぎ酒14というお米は、途中から辛口に切れてくる酸に特徴があると思います。
次は、木桶仕込 生モト 純米吟醸 雄町です。この辺りから肉に向けてディープなお酒が続きます。
ふくよかな甘酸っぱさが広がり、爽やかな柑橘系の酸味で切れていきます。おや!もっとグラマラスなボディと思っていましたが、今日は後半に爽やかに切れていく酸が、試飲時と異なるイメージです。でもこの感じも素晴らしいですよ。特にこの爽やかな酸味が素晴らしい。木桶仕込生モト純米吟醸雄町の新しい一面ですね。イサキのポワレにも負けないしっかりとしたボディがありますので、料理にも良く合います。
とここで!
ソムリエの方から、このままのペースで飲んでいくと木桶仕込みのお酒が肉までもたないと耳打ちされ、さあ大変、そこで、最後の純米大吟醸ひとごこち、デザートには甘めのお酒をとこのお酒をデザートにぶつけるつもりでしたが已む無くここで投入。
若干甘味が強いですが、口当たり良く品の良いお酒です。
さていよいよ肉に合わせます!
毎年肉に合わせるお酒を選び出すのが一番大変なのですが、今年は候補のサンプルを幾つか実際に肉と合わせてみて、その中で一番肉に合った木桶仕込山廃純米亀の尾を選びました。
仙禽さんによると、生モトより山廃純米の方が深いボディのお酒になるそうです。
さて味わいは、和牛の甘い脂を優しく包容力豊かに包み込み、素晴らしいです。
互いの味が口中で昇華していくようです。まさに和牛と亀の尾のマリアージュですね。
参りました。素晴らしいです。
これだけ和牛と相性が良いのなら、赤ワインにもけっして負けないと思いました。
そしてさらに驚きは、デザートにも素晴らしい相性を見せたことです。
デザートの甘酸っぱい酸味とお酒の酸味が共鳴し合ってとてもエレガントな味わいです。
このお酒の料理に対応する能力の高さは凄いです。
いやーっ!今日の仙禽さんのお酒とフランス料理との相性は素晴らしいですね。
甘酸っぱさを活かした仙禽さんの基本的な味のベースがフランス料理にとても良く合うのですね。
もう一つ言えるのは、基本的な味のベースに、純米大吟醸の品の良さを持ったものと、純米吟醸の酸味を利かせたものと、木桶仕込のボディの太いものと3つの異なるパターンのお酒があることです。
これによって、コース料理の中でバラエティに富んだお酒で対応できるのが仙禽さんの強みです。
個々の料理に合うお酒をしっかり選んでやれば、ワインが無くても日本酒だけでまったく問題なく料理に合います。
ただし、今日肉に山廃純米が合ったからと言って、どの山廃純米も肉に合うかと言うと、そうは言えないのです。
肉の甘い脂身を優しく包み込む包容力の豊かな仙禽さんの木桶仕込山廃純亀の尾だからこそ肉に合うのです。
日本酒の可能性はまだまだ無限です。
仙禽さんなど若い世代が造った新世代の日本酒は、その可能性をまだまだ広げていくでしょう。
皆さんもぜひフランス料理と日本酒を合わせてみてください。
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2010-07-14 00:29
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